サッカークラブのつくりかた #5 「TOKYO CITY F.C.東京都3部リーグ完全制覇」編
「調子が良い時は筆が進み、悪い時は筆が重い。2018シーズンは、筆が進むのか、止まるのか。新たなシーズン、3度目の都リーグ3部挑戦の結末やいかに…」
今年2月にブログにこう記してから9ヶ月。今年2回目の更新をすることが出来ました。
多くの方々に支えられ、多くの関係者の努力が実り、東京都3部リーグ3シーズン目にして遂に優勝・2部昇格を決めることが出来ました(カップ戦も優勝し目標に掲げていた3部二冠を達成することが出来ました)
2018シーズンにどのような変化が起きたことで結果を残せたのか。
まだまだ都リーグ3部(J9に該当するカテゴリー)ながら少しずつクラブの確かな成長が感じられた今シーズンを振り返りたいと思います。
※これまでの振り返り記事はこちらのアーカイブ記事を
▼サッカークラブのつくりかた #1 「TOKYO CITY F.C. 立ち上げ」編
▼サッカークラブのつくりかた #2 「TOKYO CITY F.C. 都リーグ参入」編
▼サッカークラブのつくりかた #3 「TOKYO CITY F.C. 都リーグ4部優勝3部昇格」編
▼サッカークラブのつくりかた #4 「TOKYO CITY F.C. 3度目の都リーグ3部挑戦」編
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強化体制の“強化”
前回の記事でも少し触れましたが2018シーズンに臨むにあたり、深澤GM兼監督を中心にトップチーム強化の体制を話し合い、選手がプレーする環境を整えることに注力しました。
・約200万円の予算を投じ平日練習 / 土曜日練習を基本とし、日曜の公式戦に挑む日程を確保(具体的には週2.5日の活動日の確保)
・選手の金銭的負担の一部解消(具体的には部費を20%減額)
・選手兼任ではないコーチングスタッフ
地道な取り組みではありますが、こういった施策が少しずつ回り出し、開幕までの練習試合では都リーグ2部以上の上位ディビジョンのクラブ相手にも互角以上の戦いができるほどの仕上がりとなりました。
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新体制発表会“ヒカサカ”
チームの強化が順調に進んでいる中でオフザピッチでも新たな挑戦がありました。
ターゲットとなったのは開幕前に応援して下さる方へ向けて新チームの編成を披露する「新体制発表会」
「都リーグ3部のJ9レベルのチームが新体制発表会?」と思われる方が殆どだと思いますが、運営しているメンバーでさえ同意見でした。
ですが、選手の家族恋人友人知人を中心としたクラブを応援して下さっている方々や、パートナー企業の方々など、お世話になっている人たちへ向け直接新シーズンへ向けた抱負を伝える機会はどうしても作りたくクラブ創設以来初となる新体制発表会の実施に踏み切りました。(こういうイベントを開催することにより所属選手の意識が高まるという副次的な作用もありました)
新体制発表会は「2018 KICK-OFF PARTY #ヒカサカ」と題してイベント化し、東大大学院の研究所の方々とコラボした企画を行いました。
J9レベルのチームが、新シーズンの抱負と新加入選手の紹介をするだけでは、いくら知人が中心とはいえ面白さに欠けるだろうとの懸念から外部のパートナーとともに新たなコンテンツを共創することを目指しました。
この「共創」というキーワードはCITYを運営する上での大きなキーワードになっており、共創型クラブとして取材をして頂いたりもしました。
ヒカサカを共創した東大研究室の方々との出会いは、運営メンバーの1人が見学に訪れた研究発表会から。
思わぬところから繋がりができ、実際にイベントを共創することが出来たことは何とも楽しく有意義な経験でした。
この #ヒカサカ はここから更に発展を遂げ9月末には明治安田生命様のイベントでも実施をさせていただきました。
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満を持してのシーズンイン
ということでピッチ内外良い準備をすることが出来、満を持してシーズンイン!
ところがどれだけ完璧に近い準備が出来たと思っていても、目の前の試合1試合1試合に勝つのはとても大変なのです。
開幕戦の相手は4部からの昇格チーム。開幕戦独自の緊張感からか硬さが抜けず、前半にPKで先制したものの追加点を奪えず結果は1-0の辛勝。自信を持って臨んだ開幕戦だっただけに勝利という結果は得たものの不完全燃焼感が残る開幕戦となりました。
しかし、今になって振り返るとこれがある意味では良い薬となったのかもしれません。
どんなカテゴリーの試合であれ、全ての時間帯を通して自分たちのペースでゲームを運べる試合というのは稀です。たとえ自分たちの時間帯で無かったとしても粘り強く戦い続け、相手のスキを突く。そうしているうちに再びペースを握り返す。
時として、そんな粘り強さを持った戦いをすることも出来るようになり、(後半アディショナルタイム3分のPKで勝利した試合もありました)安定感のある守備力をベースに勝点を積み重ね9連勝して遂に「あと1勝で昇格」という所まで辿り着きました。
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悲願の3部リーグ優勝
そして迎えた第10節「住友商事サッカー部」さんとの試合。
この試合に勝利したら自力優勝・昇格が決まるという真夏の大一番に向け、運営スタッフ間では選手たちに極秘裏に「優勝対応」の準備を進めていきました。
用意したものは
・優勝ロゴ
・優勝パネル
・優勝記念Tシャツ
・炭酸ファイト用のドリンク
もし優勝が決まればこの日の写真や映像はクラブの歴史にとって大きな意味を持つということで予算的には厳しい状況ながら約10万円ほどを投じ、各種準備物を揃えて決勝の会場へと向かいました。
そして結果は…エース市川の2ゴールで勝利を掴み、3年かかった悲願の昇格を決めることが出来ました。
10万円分の優勝関連制作物が無駄にならず本当に良かった…笑
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リーグカップも制覇!リーグ・カップを全勝で制す。
リーグ優勝から約4ヶ月後の11月18日。3部リーグと同時並行で行われていたカップ戦の決勝が開催されました。
3部カップ決勝の相手は筑波大学蹴球部のOBチーム「筑波ボンバイエ」さん。彼らは3部リーグの違うブロック(3部は全部で6ブロックに分かれています)を制した優勝チーム。文字通り2018シーズンの都3部最強クラブの座をかけた決勝戦となりました。
試合は技術のある相手に対し一進一退の攻防が続く中、粘り強く戦い続け、前半27分に先制。2分後に追加点を奪えたことで一気に主導権を握ることができ終わってみれば3-0と完勝。チームの成長に確かな手応えを感じるとともにシーズン二冠を達成することが出来ました。
実はこの試合は監督不在で戦う初めての公式戦でした。監督は専任でクラブのことを行なっているわけではなく、むしろ自身の本業でも活躍しながらなんとか時間をやりくりしながら、監督業も並行して行なってくれています。戦術的な指導など経験値から来る確かなものは勿論あるのですが、何よりもその情熱でチームを1段も2段も上のレベルに導いてくれました。
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両輪が回った。手応えを掴んだシーズン
3年間の3部生活。
確かに時間が掛かったし、その間に失ったものもあった。勝利だけが目的でも、カテゴリーを上げることだけが使命でも無いのですが、やはり勝てない時間というものは非常に長く苦しい時間です。
でも、その時間があったからこそ、嫌というほど自分たちがクラブをやっていく理由を見つめ直し、なぜトップチームは勝利に向かって努力する必要があるのかを議論し合い、改めてどこを目指してやっていくのか、そんなことを考え続けました。
その時間が結果として、クラブに関わるメンバーに覚悟を産み、まだまだ理想には程遠いけど選手がプレーする環境を前よりは良いものにでき、監督の情熱が選手1人1人に伝搬し、ピッチ上で選手たちが想いを体現する。
それまではどこか距離感のあったオフザピッチとオンザピッチの両輪が、
勝利を重ねるごとに交差し合い、絡み合い、回り出した。
そんな確かな手応えを掴むことが出来たシーズンとなりました。
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2019シーズン。そしてその先へ
さて、TOKYO CITY F.C. はこの先どこへ向かうのでしょうか。
「PLAY new FOOTBALL , PLAY new TOKYO」の哲学に込めた想い、トーキョーシティをフットボールで遊べ!という想い。
サッカーの新たな楽しみ方を、これまでの常識に捉われないクラブ運営で実現し、東京での遊びの選択肢とする。
そんなことをTOKYO CITY F.C. では実現していきたいし、
CITYだけではなく、色々な方法論を持つクラブがそれぞれのやり方でサッカー界を、スポーツ界を盛り上げていければ、新たな挑戦をした意味も出て来るのかなと思っています。
「サッカークラブのつくりかた」シリーズを年1回くらいのペースですが、ゆるーく更新し続けている理由は、クラブを作ることって実はそんなに遠い世界の話ではなく、
もちろん大変なこともメチャメチャあるのですが、それでも最高の体験を得ることが出来ると身を持って感じたため、
これからクラブを作ろうと思う人が少しでもショートカット出来て、余分な負担が掛からなければ良いなという思いが一つと、
純粋に、、電車の駅ごとにとか、それくらいの細分化したレベルでクラブがあって、プレーする人も応援する人も”いつも身近にサッカー”があれば、自ずと日本サッカー全体の盛り上がりにも通ずると確信しているからです。
サッカーが日本に文化として根付くって、そういう事なんじゃないかなと思っていますし、そのためにもっと多くの人たちが日常的に、でも一歩試合会場に入ると非日常的に、そんな風にサッカーに触れ合ってほしい心の底から思っているからです。
2019シーズン、TOKYO CITY F.C. は都2部リーグに昇格します。
きっとまた厳しい時が訪れるでしょうし、心が折れそうな時もあると思います。
でも、選手もスタッフも、クラブに関わる人間の人数も熱量もコミットも全てが創設時には比べ物にならないくらい高まっています。
これが歴史が積み上がってきた、ことなのかなとも感じています。
楽しい想いも悔しい想いも色々な感情、色々な時間を経験してきたからこそ、このクラブが目指す先が、関わる人々のコミットする理由が少しずつ明確になってきたようにも感じます。
熱量が高まったからこそ、可能性の幅も広がってきました。
クラブが成し遂げたい未来像に変わりはありませんが、「新しくて強くて、長く続く」そんなクラブになれるよう、良い部分を踏襲しつつやり方をドラスティックに変えることも検討しています。
毎週朝7時から朝活をしながら、あーでもないこーでもない言いながら前向きに自分ごと化し議論を重ねています。
2019シーズンはどんなシーズンになるでしょうか…。
新シーズンが怖くもあり楽しみで仕方ありません。
これからもTOKYO CITY F.C. は高みを目指し続けます。
かっこよくて、ワクワクする、そんなクラブを目指して。
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